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【データサイエンスと人的資本経営】明治大学 理工学部 特任講師:崎濱先生に聞く
産学連携 |
株式会社ココエのデータサイエンス事業の顧問を務めております崎濱栄治先生にお話をお伺いいたしました。崎濱先生は明治大学 理工学部 特任講師としてご活躍されているほか、自身の会社であるAGプラスを立ち上げ、データ分析コンサルティング、人材育成支援にも力を入れておられます。
本インタビューでは崎濱先生が担当された実際のプロジェクトなどの事例を踏まえながら、データサイエンスと人的資本経営の関わりについてお話を伺いました。
近藤
本日はお時間いただきありがとうございます。まず最初に先生のご専門のデータサイエンスに関する研究について教えていただけますでしょうか。
崎濱先生
機関投資家の一員として、長く金融市場に関わる仕事していました。
そこではデータサイエンスに基づいた投資運用をしておりました。
そのあとにインターネット広告の会社に移りまして、データサイエンスに基づいた広告の品質改善をチームを率いて行っておりました。
その経験で、金融マーケットでのデータ分析のノウハウやスキルであったり、機械学習の可能性を活かした研究をしています。また、 最近は有価証券報告書の開示制度の変化に伴った非財務情報の開示に関する研究をすると共に、非財務情報と密接に関わる人的資本経営におけるデータサイエンスの活用支援も行なっています。
近藤
人的資本経営という言葉が出ましたが、私自身ベンチャー経営をして八年目の会社ですが、やはり一番苦労するのが採用や採用した方々のエンゲージメントどう高めていくのかという点になっていて、そのあたりの人的資本経営とデータサイエンスの関わりについて何か研究されていことや、トレンドなどがあれば教えてください。
崎濱先生
比較的簡単にログデータを集めることができる時代になりましたので、様々なデータから示唆を得ることは可能だと思います。
例えば、入社の際のSPIテストやEQ・IQテストのデータを貯めて、「この数値の人は離職が高い」「この数値の人はカルチャーフィットしている」などの分析が行なえると思います。さらに社内のコミュニケーションツールの利用ログも合わせた分析が出来てくると、カルチャーフィットする人材の傾向を採用の段階で見極めることができてきますので、採用の段階で見極めることが出来れば、候補者にとっても会社にとってもハッピーですよね!
近藤
カルチャーフィットするデータやポイントが分かれば、よりフィットした人材を集めることでより濃いカルチャーを創ることもできますよね。ベンチャーなどのこれから伸びる会社にとっては、参考になりますね。
社員のエンゲージメントを高めつつ、長く働いてもらう為にもデータサイエンスは活用できますね。
先生は元々金融業界のデータサイエンスでご活躍されていたと思いますが、人的資本経営に興味を持たれたきっかけがあったのでしょうか?
崎濱先生
開示は企業の取り組みを示すものであり、そこで人材への投資が業績に結びつくことがわかり、人的資本経営へとの密接な繋がりを感じたのがきっかけです。
人的資本が直接的に業績に影響する訳ではありませんが、投資した分だけ社員が行動に起こしてくれることによって、間接的に良い影響を与えることは間違いありません。なので、人的資本経営では、社員にどう行動に移させるかが重要になります。
近藤
行動に移す、一番の課題ですよね。
行動を起こすためには社員のエンゲージメントをどう高めるかも大切ですよね。
崎濱先生
エンゲージメントを高める為には、まず状況を可視化してマネジメントが状況を理解することが大切です。
ある会社では社内向けの接待交際費利用額を可視化すると、利用額が高い部署での社員のエンゲージメントが高い傾向にあることが分かった典型的な例があります。
近藤
コミュニケーションが活発な部署ほど社員のやる気も上がるということですね。
他にも定量的な数字で測れるものはありますか?
崎濱先生
アンケートや離職率はもちろんですが、1on1の回数や頻度、会議での発言数、チャットツールの利用状況などをAIで測ることで社員のエンゲージメントを可視化することもできます。
人的資本経営において、社員のエンゲージメントを可視化するのももちろん重要ですが、やはり最終的には社員自身に「キャリアオーナーシップ」を持ってもらうことです。自分自身が自分自身のキャリアのオーナーであると言う認識を持ってもらう、そしてそのキャリアをサポートする環境を、企業が作っていく必要があります。キャリアオーナーシップの先進事例として、パーソルの人的資本レポートは参考になると思います。https://www.persol-group.co.jp/news/20240131_13314/
人的資本経営と聞くと人事戦略をイメージしますが、人事戦略は直接的に経営戦略に紐づくので最終的に売上や利益などの業績に全部紐づけるべきだと思っています。ただそのフレームワークを確立している企業も少ないのでそのあたりはこれからになりますね。
近藤
人的資本経営の捉えかたは企業によって異なることが多く、ある意味フリースタイルでそれぞれの企業にあったフレームワークを作ることも可能ですよね。
データサイエンスを用いることで、人的資本経営を蓋然性と再現性をもって実現できるのかな、とも思います。
崎濱先生
今は生成AIの進化が著しく、AIを使いこなすスキルも必要になっています。
実務に役に立つスキルを特定した上で、定量化するのもいいですし、例えばディープラーニングG検定の研修から整備して社員がいつでも学べる環境を整えてあげること、業務に直接的に役に立たないスキルをポータブルスキルとして学ばせてあげることが、社員自身のキャリアオーナーシップの形成に繋がります。
そしてその学びや自主性を行動にどう移してもらうかが人的資本経営の本質的な部分ですね。
近藤
ココエでは、データサイエンスをベースとしながら、会社のコンピテンシーを生かすような形で、人的資本経営の定量化や分析、フレームワーク化のお手伝いができるかと思います。今後は、目まぐるしく進歩しているデータサイエンスやAIの力が、人的資本経営の分野でも発揮されていくのが楽しみですね。
この記事を書いた人
崎濱 栄治|明治大学 理工学部 特任講師, 株式会社AGプラス 代表取締役
明治大学理工学部 特任講師 /(株)AGプラス代表(データ分析・教育)。
データサイエンス社会実装と応用研究。みずほ第一FTで機関投資家向けコンサルティング、AmundiJapanでクオンツファンドマネージャー。
ファンコミュニケーションズ等でデータサイエンスチーム統括の後、現職。
「非財務情報とESGスコアの関係性」『サステナビリティ経営研究』(共著)、「データサイエンス入門教育について」『日本地域政策研究』など
この記事を書いた人
崎濱 栄治|明治大学 理工学部 特任講師, 株式会社AGプラス 代表取締役
この記事を書いた人
株式会社ココエ
株式会社ココエは、「変わらないを変える」をミッションに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて、すべての企業が新しい事業価値を創造できる世界を目指しています。この目標に向かって、私たちはデータサイエンス・AI事業やマーケティング事業を展開し、革新的なソリューションを提供していきます。
この記事を書いた人
株式会社ココエ