失敗しないKPIとは?KGIやOKRとの違いや設定方法・注意点など徹底解説

企業目標の達成にはKPIの設定が欠かせません。KPIは、マーケティングや営業などのさまざまなビジネスシーンで活用されている指標です。この記事では、自社のKPIの見直しや設定が必要と考えている企業の担当者の方に向けて、KPIの設定方法や失敗しないための注意点などについて解説します。
この記事を読めば、以下の内容が理解できます。
KPIの定義
混同しやすい用語との違い
KPIの設定方法
KPI導入時の注意点
ぜひ参考にしてください。
▼目次
1.KPIとは?
KPIは、マーケティングや営業業務における各プロセスに設定する指標です。まずは、KPIの定義や具体的な使用例、設定のメリットなどについて詳しく解説します。
1-1.KPIの定義
KPIは、Key Performance Indicatorの略称で、目標を達成するまでのプロセスの達成度を定量的に評価するために用いられる指標です。日本語では「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」という意味があります。
KPIによる評価は毎月実施されるのが基本ですが、毎週、毎日の短期的な目標設定の際にも用いられる場合があります。最終的なゴールの達成度ではなく、現時点からゴールまでに設定されたプロセス(中間目標)を評価する指標になるのがKPIです。KPIの評価が低い場合は、目標の再設定や改善策の実行が必要となります。
1-2.ビジネスにおけるKPIの使用例
ビジネスにおけるKPIの使用例を部門別に紹介します。
部門名 | 使用例 |
営業部門 |
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マーケティング部門 |
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人事部門 |
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会計・財務部門 |
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技術開発部門 |
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製造工場 |
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例えば、自社製品の売上アップを企業目標に掲げた企業のマーケティング部門の場合、新規顧客を獲得するよりも既存顧客をリピーターにする方がコストを抑えられる可能性があります。そこで、リピート率をKPIに設定し、既存顧客をリピーターに教育するための施策を立案するのも一つの方法です。
1-3.KPIを設定することで得られるメリット
KPIを設定した場合、以下に挙げるメリットが得られます。
目標達成までのプロセスの可視化が可能
組織の生産性の向上
組織内評価基準の統一が可能
KPIを設定すると、これまで明確化されていなかった指標や評価基準が体系化され、目標達成までのプロセスで浮き彫りになった課題や問題点を組織全体で共有できるようになります。さらに、組織や部署間において目標達成を目指す社員の意識が同じベクトルを向くようになると、仕事へのモチベーションアップにつながり、結果的に組織全体に相乗効果が生まれます。
また、KPIを活用すれば曖昧になりがちな評価基準を統一でき、公正な評価を行うことも可能です。KPIを評価基準に反映させることで、客観的な指標を用いた公正な評価を行えるようになります。
2.KPIと混同しやすい用語との違い

KPIと混同しやすい用語として、KGIやOKR、KFSといった言葉が挙げられます。ここでは、用語の意味や使い方などを解説します。KPIとそれぞれの用語との違いを把握しておきましょう。
2-1.KPIとKGIの違い
KGIと略される「Key Goal Indicator」とは、企業が目指すべき最終目標のことです。日本では、「重要目標達成指標」と訳されています。KGIは、最終目標の達成の判断基準を明確にできることから、最終的な目標の達成度を評価するために用いられています。
KGIに設定される項目は、売上額や利益額、顧客数などです。KPIが達成されれば、最終目標のKGIを達成する確率が高まりやすくなります。つまり、KPIが中間目標の達成度を評価する指標である一方で、KGIは最終目標の達成度を測定するための指標といえます。
2-2.KPIとOKR の違い
OKRと略される「Objectives and key results」は、「目標と主要な結果」と訳されており、目標とそのプロセスの達成度を測定する指標を一緒に管理するための方法です。要するに目標達成までに「どうするべきか」を示すものといえます。
KPIでは1つの指標によって中間目標の達成度を評価しますが、OKRは複数の指標を設定して目標に到達するまでのプロセスや期限を定めて管理します。KPIが長期的な業績の測定に用いられる指標である一方で、OKRは短期的な目標を設定する際の管理方法に用いられるケースが多いです。
2-3.KPIとKFSの違い
KFSFSと略される「Key Factor for Success」とは、事業の成功に必要な要因を定めることです。日本語では「重要成功要因」と訳されます。KFSは、KGIを設定して目標と現状のギャップを明確化し、目標を達成するまでに必要なプロセスを検討した後に絞り込むのが一般的な流れです。
KFSの絞り込みには、自社の強み・弱みを明確にする「内部環境分析」と、業界での勝利条件を見極める際に役立つ「外部環境分析」による多角的な視点が求められます。KPIは企業目標の達成度を測定する指標ですが、KFSは企業の目標達成を実現させるための鍵になる要因といえるでしょう。
3.KPIの項目と設定方法

KPIは、「SMARTの法則」のフレームワークを活用して設定しましょう。フレームワークの活用により、具体的な測定や達成が可能であり、自社にとって適切な目標を立てることができます。SMARTの法則の5つの基準を解説します。
3-1.Specific(具体的な)
Specific(具体的な)は、具体的な目標を定めるための基準です。Specific(具体的な)の基準を満たす項目の例は以下のとおりです。
顧客訪問件数
成約率
不良品発生率など
現場の社員が一目見て何を目的にしているのかが明確にわかる目標を定めることが求められます。例えば、「1年間の顧客訪問件数を増やす」よりも、「1年間の顧客訪問件数を〇件に増やす」とした方が、より具体的な目標を立てられるでしょう。具体的な目標は、組織内で共通の認識として周知でき、企業目標の達成に向けて足並みを揃えることができます。
3-2.Measurable(測定可能な)
Measurable(測定可能な)は、目標の達成度を測定するための基準であり、測定可能な目標を設定する際に用いられます。Measurable(測定可能な)の基準を満たす項目の例は以下のとおりです。
歩留まり率
販売数
発注回数など
目標の達成度を測定するためには、上記で挙げた例のように率・件数・回数などの数値化できる項目を指標にする必要があります。測定できない指標を用いれば正しい評価が行えず、目標を立てた意味がなくなってしまうからです。測定可能な目標を設定できれば、評価基準が明確になり、達成度を評価しやすくなります。
3-3.Achievable(達成可能な)
Achievable(達成可能な)は、実現性のある目標を立てるための基準です。Achievable(達成可能な)の基準を満たす項目の例は以下のとおりです。
1人あたりの契約販売数
新しい商品・サービスの成約数など
努力しても達成できない目標を立てれば、社員のモチベーションの低下を引き起こす恐れがあります。しかし、誰でも達成できる簡単な目標は、努力しなくても目標に到達できるため社員の成長を促せません。達成感のある目標を立てるポイントは、努力次第で実現できるかどうかという視点です。
3-4.Relevant(適切な)
Relevant(適切な)は、組織全体もしくは社員個人の利益に関連する目標を立てるための基準です。例えば、「前年同月比の売上額の10%アップ」を目標とした場合に、Relevant(適切な)の基準を満たす組織全体や社員個人の利益に該当する例は以下のとおりです。
他製品の売上に影響を与える
インセンティブが増えるなど
1つの製品の売上アップによって他製品の売上に影響が出れば、相乗効果となって企業の利益率がさらに高まります。また、目標の達成度に応じて部署やチームのインセンティブを増やせば、社員一人ひとりのモチベーションの向上につなげられます。
3-5.Time-bound(期限を定めた)
Time-bound(期限を定めた)は、期限が明確に定められている目標を立てるための基準です。Time-bound(期限を定めた)の基準を満たす期限の例は以下のとおりです。
週
月、四半期
上半期、下半期など
期限を定めた目標を立てなければ、目標達成は後回しにされ続けてしまう恐れがあります。明確な期限がある目標を立てれば目標達成に対する集中力が増し、業務効率を高めることができます。ただし、現実的に達成が難しい期限を設定すると、社員のやる気を低下させる可能性があるため、実現可能な期間を定めるようにしましょう。
4.【失敗例】KPI導入の際の注意点

KPIを導入しても失敗するケースがあります。KPIの導入を成功させ、企業目標の達成を目指すためには、競合や事業戦略に合わせた実現可能なKPIを複数設定することが大切です。KPI導入の際の注意点を以下で解説します。
4-1.競合企業や事業戦略に合わせてKPIを設定していない
KPIを導入しても失敗するケースの一つとして、競合他社の活動や市場の変化を考慮せずにKPIを設定することが挙げられます。KPIは、自社の状況だけを把握して設定するものではなく、競合他社が実際に行っている活動内容や市場動向などを理解した上で変化させることが重要です。
競合や市場動向を無視したKPIを設定し続ければ、競合他社との競争に負け、市場から取り残されてしまう可能性があります。自社の状況を踏まえ、競合他社の活動や市場の変化、業界のトレンドなどをしっかり分析したKPIの設定が必要です。また、KPIの設定後は効果検証を行い、必要に応じて再設定してください。
4-2.自社では実現できないKPIを設定している
自社の努力や活動量を以てしても達成できないKPIを設定すると、失敗に陥りやすくなります。努力をしても目標を達成できない場合、SMARTの法則に挙げられる「Specific(具体的な)」「Measurable(測定可能な)」「Achievable(達成可能な)」「Relevant(適切な)」「Time-bound(期限を定めた)」の5つの基準を満たしたKPIが設定されていない可能性があります。
自社のリソースで制御できない要素をKPIに反映させてしまうと、効果が得られない上に失敗に陥った原因を適切に分析できない状況を招いてしまうかもしれません。KPIを設定する際は、SMARTの法則の5つの基準を満たしているか確認しましょう。
4-3.組織内で複数のKPIを設定している
複数のKPIを設定することで、KPIの導入が失敗するケースがあります。KPIは、目標達成のための優先順位を定め、プロセスや評価基準を体系化して設定することが大切です。
KPIを1つに絞り込む際に、複数の要素を無理やり盛り込むことで達成が困難なKPIを設定してしまう可能性があります。多くの要素を抽出して設定されたKPIは、組織の混乱を招きかねません。
KPIの導入を成功させ、組織内で定めた目標を達成するためには、前述したSMARTの法則を上手に活用し、期限がしっかり定められており、具体的かつ測定・達成が可能で、自社や社員個人の利益につながる適切な目標を設定するようにしましょう。
5.KPIを正しく設定し企業目標を達成しよう
KPIは目標達成に向けたプロセスが適切かどうかを定量的に評価するための指標です。正しいKPIを設定すれば、企業目標の達成度を高められます。KPIの設定に悩んだときは、プロに相談することも一つの方法です。
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